コハクの(自己満足)自作小説

こんにちわ、コハクです。 ここでは、俺が自身の満足感を満たすために自作小説を、つれづれなるままに書き綴ろうとする場所です。何かの間違えでここに来た時、ぜひ無駄な時間を過ごしていってくだされば満足です!

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第三話 兵器と兵器


 その言葉に、顔を曇らせるダリアルス。だが、しばらくの沈黙の後、小さく頷いた。

 「わかった……だが、兄貴はここまで来れない。こっちから行く必要がある……場所は、俺達のアジトだ…」
 「わかった。なら、明日の朝早くに出よう。アイツらを休ませるのが最優先だ。」

 グレアムの視線の先には、寝息を立てている子供達の姿。クイーンも、その中心でぺたりと座り込み、小さな寝息を立てていた。
 月が輝く。子供達を、優しく照らす様に。
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第三話 兵器と兵器

 グレアムは、『ヘラクレス』に跨ったり、登ったりして遊んでいる子供達を見ている。誤射の無い様に、あらかじめ火気官製システム…FCSは切ってある。と言っても、グレアムと直結しない限りは危険はないのだが、それでも念の為の処置だった。
 その気になれば、軍の精鋭が組んだ一小隊さえも『ヘラクレス』なら圧倒する事も可能なのだ。

 「あ、お姉ちゃんだ!」

 頭頂部の複合センサーにぶら下がっていた少年が、急に声を上げた。グレアムもそちらに目を向けると…

 「……………なんで?」

 クイーンが無表情に歩いている。いや、それ自体はいつもの事だ。おかしいのは、彼女の髪に絡まった様にして縛られ、地を引きずられている誰かがいる事で…
 しかもそれは、よく知った顔で…

 「…探しにいく手間は、省けたか…」

 引きずられている男、ダリアルスという名の男は、グレアムが外に組織した部隊と、敵対していた集団のリーダー格の男だった。


†††


 「ほらよ。」

 グレアムは、火の通りだした魚を差し出した。
 場所はドームから少しだけ離れた河辺。夜になる前に、野生動物や追っ手から身を隠すのに選んだ場所だった。川を背後に戦えば、
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第三話 兵器と兵器

 「お前らに…謝っておく事がある…」

 グレアムは頭を下げ、切り出した。

 「俺の戦いに巻き込んで、こんな所に出しちまった。」

 そんなグレアムを、20人近くもいる子供達は黙って見ている。グレアムからは、彼らの表情は見えない。

 「すまん…」
 「オヤジ、なに謝ってんだよ。」

 思いがけない言葉に、顔を上げるグレアム。そこには、楽しそうな顔をしている子供達の姿。

 「孤児の俺達を拾って、こんな家族にしてくれたのはお父さんだよ?」
 「お引っ越しみたいなものでしょ?」
 「外って、綺麗なんだね……」

 次々と、口を開く子供達。誰も、グレアムを責めない。まるで、こうなった事が当たり前だといった風。子供が、親に着いていく。ただ、それだけだと言った風に。

 「いや…こんな危ない場所に…」
 「だって、ドームにいたら殺されるかも、って姉ちゃん言ってたよ?」
 「…」
 「そうだよ!パパは私たちを守ってくれたんでしょ?」
 「…」
 「お父さんがいなきゃ、僕たちはもっと前にきって死んでたんだから、ぜんっぜん気にしてないぜ!」

 誰もが、グレアムを落ち込ませないようにと必死にまくし立てる。後半はもう、何を言っているのかわからないくらいに、まくし立てる。
 それにグレアムは、何も言えなくなる。


『世界中の子供に、愛をあげて……』



 あの日に聞いた、彼女の願いを思い出す。

 レディア、俺は約束を守ったぞ…………



†††


 クイーンは、大木を背に座り込んでいる。真っ直ぐに広げた足の先に、小鳥が止まっている。しばらくそれを見ていると、小鳥は急に空へと羽ばたいて行ってしまった。
 それにクイーンは、静かに立ち上る。
 そして次の瞬間、その姿が霞む。瞬きすら追い付かない時間が経ち、草陰に潜んでいた何者かを押し倒す。その人影は驚いた用に慌てたがすでにクイーンは、その頭を地面に叩きつけている。
 あまりの速さに、苦悶の声すら上がらない。

 「……なに?」

 クイーンの静かな質問。人影は、両手を上げて諦めたように首を振る。

 「待ってくれ…俺は別に危害を加えるつもりはない……」
 「…?」
 「ただ、『百獣の妃(クイーン)』の力を見てみたかったんだ…」
 「なぜ?」
 「…力を、貸して欲しい……きっと、あんたと、あんたと同じくらい強いアイツが組めば…きっと仇が討てるんだ!」
 「……『機械王(
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第三話 兵器と兵器

 「……」

 緑の葉に触れ、レディアは微笑む。「生」を感じるその色合いに、レディアは微笑む。周囲に人影は無く、静かな空間。少し向こうに、自分の護衛する核兵器の発射施設が見える森の中。虫や鳥、動物達の鳴き声に愛おしさを感じ、レディアは微笑む。

 「ねぇ…『教会本部』……あなたの望む平和の世界って……私達の周りに、ありふれてると思うの……」

 当然、答える声はない。名前しか知らない、世界規模での平和を維持する『教会本部』…その理想は、グレアムから何度も何度も聞かせて貰っていた。
 世界が再び再生するまで、平穏と平和を守り、正義と法と教えの理を説く、一大組織。その組織…いや、世界を敵に回す立場の自分達…
 何の為に…
 誰の為に…
 そんな疑問が常にまとわり付く。
 答えなんか、もう分かっているのに…
 答えなんか、もう出ているのに…
 レディアは、ドームを振り返る。自分の信じていた世界を、振り返る。そして、本当の世界に視線を戻す。
 小さい頃に夢見てきた、魔法の国の景色。
 青空い空
 白い雲
 緑の大地



 黒い、絶望




†††


 迷う様に、唐突に歩みが鈍くなるグレアム。クイーンの歩みも、何故かそれに合わさって鈍くなる。

 「…?」
 「…なんだよ?」

 見上げるクイーンの瞳に、呆れた色が写っているのが分かる。

 「早く、する。」

 相変わらずの、カタコトと無表情。

 「…わかったよ…」

 グレアムが意を決した時…急に子供の一人がこちらに振り返った。そして、目を丸くする。
 無理もない。なにせ自分はロボットと言わんばかりの外見で…自分の身体は頭位しか確認が出来ないのだ。もう、どっからどう見ても恐怖心を煽るだけの外見。それに、振り返った子供…複合センサーで確認するまでもなく、自分の育てている孤児の一人…サムルが大声を上げた。

 「オヤジ…かっけぇっ!」
 「ってソッチかよっ!?」

 思わず突っ込むのと同時、子供達は全員こちらを振り返り、もう「わぁっ!」とか「きやぁっ!」やらを叫びながら、嬉しそうに…本当に、嬉しそうに駆け寄ってくる。
 クイーンは、視線を前に向けたまま、優しげな声でそっと囁いた。


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第三話 兵器と兵器

 重い扉が開く音が響く。
 グレアムの前で、ゲートの入り口が開いたのだ。そして、中から現れたのはクイーン。

 「キング。早くする。」

 異形と化したグレアムに、何の感情も見せないクイーン。グレアムも、そんなクイーンに感情は見せない。

 「ああ。まぁ、もう大丈夫だ。追っ手はそこまで来ているが、適当にぶっ放しておいたからな。ラディアも撤退命令を出さざるを得ないだろう。」
 「でも、子供は不安。」
 「だな……っても、俺もこんな姿だが。」

 強襲用外装【ヘラクレス】。古の勇者の名を持つ、カブトムシの様なその機械の身体は、クイーンとラディア以外、この地で見たものは居ない。もっとも、クイーンは敵として、ラディアは友として…という、違いはある。

 「さて…行くぞ。こうなった以上、ドームには戻れん。」
 「別に、いい。」
 「いや…お前はそうだけどよ……」

 一匹と一機は、何事も無いようにゲートをくぐる。後に続くものは、何も無かった……


†††


 「そう、か……」

 ラディアは、部下からの報告を受けて呟く。それは、どこか寂しげで、悲しく弱い呟き。
 報告の内容は、グレアムがドームを離れたという事。
 上手く逃げてくれた事に安心していいのか、これからの計画に支障を来す可能性が大きい事に懸念するべきか、今のラディアには分からない。分かる事は、自分達の行く道が違えたという事ただ一つ。

 「さて…施設を直接、見に行くか…」

 ラディアは重い腰を上げる。施設に行く理由…「レディアがいる」という、あまりにも馬鹿げている報告。死人は帰って来ない。あの日、

妹のレディアと義兄弟のグレアムを同時に失ったあの日、なによりも命の大切さを知ったあの日に嫌という程に知った事だ。



†††


 「キング?」
 「ん?ああ、すまん。」

 いつの間にか、物思いに更けていたグレアムを怪訝そうに見るクイーン。クイーンは今、グレアムの左肩…というか、左門ガトリングに、ちょこんと腰をかけている。
 グレアムの動きに合わせて、長い髪が揺れる。退屈そうに伸ばした両脚は、本当にただの少女の様に細い。グレアムを見下ろす表情は、今まで敵だった者とは思えない程に自然なもので、本当にこれがあのクイーンなのかと、グレアムは少し考えてしまう。

 「キング…?」
 「っと…悪いな。なんだ?」
 「名前って、何?」
 「名前…?」

 グレアム
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